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古代戦車について

世界史コンテンツ(のようなもの)番外編


~古代戦車について~
 









「あれ…また番外編?」





「次のネタは大砲と聞いて、心待ちにしているのだが…私への嫌がらせか?」





「そう言われても、私はただの講師に過ぎませんから。講義内容の決定権はありません」





「ど~せ飽きてほったらかしにしているんじゃないの?」





「そもそも、これほど長編のコンテンツになるなど想定の範囲外だったようだしな。十分にあり得る話だ」





「ASDICも、少しずつ準備はしているようです。気長に待ってやってください。番外編は前回、中世ネタだったので、古代ネタを今回やることにすればバランスもとれますし、悪いことではないでしょう」





「番外編でも、何もしないよりはマシってことか。仕方ないわね~」





「今回は我慢しておくか。しかし、いつまでも寛容の精神を保てるほどの自制心は持ち合わせていないことを明言しておく」





「それでは、古代戦車についての講義を始めたいと思います。古代戦車と言っても、あまり馴染みのないものでしょうが、最後までお付き合いください」





「ところで、そもそも古代戦車ってどんなもんなの?」





「ベン・ハー」や「秦の始皇帝」等の映画にも出てくる二輪の馬車がそれになります。~号とか~式とか猛獣の名前は想像しないでください」




「戦車と言えばメルカバだな」




違います!ですから現代の戦車のことではなく…」




ん?ヘブライ語で古代戦車のことをメルカバというのだが、違うのか?(ニヤリ)」





「…そういう小学生みたいな真似はやめてください!話を続けますよ」





「軽口に少々付き合うくらいの余裕を持って欲しいものだが…まぁ、続けてくれ」




「古代戦車とは、機動力のある射撃台と考えてください。機動力を生かして戦場を駆け回り、遠距離から矢の雨を降らせる、というような戦い方をします。正面もしくは側背に突撃させる運用もありますが、基本的には弓騎兵のような運用をされたようです」




「ふ~ん…。なんとなく分かったけど、いちいち車を引かせなくても単純に騎乗すればいいんじゃないの?」




「確かに騎乗の習慣は古代戦車以前より存在しました。BC:4000頃のウクライナのデレイフカ遺跡に騎乗があったと見られる資料が発掘されています。しかし、当時は騎乗戦闘技術が未発達だったことを考慮する必要があるでしょう。馬を操りながら戦闘を行うことは、極めて困難であると思われていたのではないでしょうか?」




「古代戦車ならば『行者+戦闘員』という組み合わせだから、騎乗戦闘よりは容易に戦闘が行えると考えられる訳だ。理屈としては筋が通っている」




「現代から見ると騎乗の方が単純に見えるけど、クリアしなければならないハードルがけっこうあったってことか。先ずは、『訓練次第で騎乗戦闘が可能』であるということを発見する必要があった訳ね。コロンブスの卵~」





「他にも馬格が小さいから騎乗に適していなかったという説もありますが、この説は信憑性に欠けるでしょう。実際に戦闘以外では騎乗していたようですし、重い金属鎧を着なければ問題はなかったと思われます」




「ちょっといいか?古代戦車の構造について、少々疑問がある。何で二輪なんだ?射撃用プラットフォームとして考えると四輪にして安定性を確保することが戦術的に有利だと思うのだが




「安定性に関してはお説の通り。しかし、安定性よりも重要な因子が他にいくつかあり、それらとトレードオフした結果、二輪になっているのです。具体的には、BC:1800頃のメソポタミア地方において、本ながえ・棒くびき・人字型くびき・輻式二輪車・馬牽引・車軸固定・箱形車体という古代戦車の設計が完成形に達した訳ですが、四輪の古代戦車も存在していました。しかし、安定性や火力に勝っていたにもかかわらず、一般的なものにはなりませんでした。なぜだか分かりますか?」




「考えられるとしたら…そうだな、重量増の問題か?しかし火力や安定性よりも大事なのか…」




「西部劇とかだと馬車の車輪がよく外れたりするから、壊れやすい部分を減らすため、とか?」




「それだと荷重が分散化する四輪の方が壊れにくくなると思うが…」





「むぅ…」




「凉子さんが半分正解ですね。軽量化は非常に大事なんですよ。輻(スポーク)によって軽量化された車輪と、摩擦を減らした車軸とハブの設計が、古代戦車を軽量かつ頑丈な多頭牽二輪車両という戦争道具にした決定的な改良点だと言われているくらいです」





「四輪より二輪が軽いのは確かだが、それほど重要なのか?」




「はい。当時の馬は馬格も小さくパワーもあまり強くありませんから、車台の重量は軽いにこしたことはないのです。それに馬と車台を繋ぐながえ等も木製ですし、車台が重いとその分負荷が掛かって折れやすくなります」





「そうか…動力源が馬である以上、疲労増大による能力低下も考慮する必要がある。弓騎兵的な運用を行う古代戦車にとって、車台重量の軽減は最重要問題ということか」





「残りの半分は何かにゃ~」




旋回性能の確保です。この時代には差動機なんて便利なものはありませんから、四輪では方向転換がかなり大回りになってしまいます。戦場で小回りが効かなければ、戦術の幅を狭めてしまい古代戦車の有用性が大きく減ぜられることは理解できると思います」




騎兵の最大の武器は機動力、だったな。大事なことを忘れていたよ」





「なるほどね。で、やっぱり当時はこの古代戦車って強かったの?」




「それはもう、主戦力というか古代戦車の数で戦力を比べていたくらいですよ。古代エジプトや春秋戦国時代の支那なんて、そんな感じでした」





「中世ヨーロッパの騎士みたいなものか」





「そうですね。古代戦車が強力な軍事ユニットだったせいで、中央の統制が及びにくいようになり、中世騎士のように古代戦車戦士が小領主となって封建制を敷く場合もありました。古代エジプトは金で直接古代戦車戦士を雇っていたみたいですけど」





「それも、なんだか東ローマ帝国のカタフラクトを金で雇用していたのと似ているな。カタフラクトの場合は初期だけで、やがて封建制になっていくのだが」





「そんなお強い古代戦車も騎兵が出てきたら、あっさり歴史から消えてしまった訳?」





「そうでもないのです。アッシリアでは古代戦車を主戦力としつつ、騎兵もいましたし」





「騎兵に劣るから古代戦車は消えていったのではないのか?共存しているというのも変な話に思えるが」




「そうですね。確かに古代戦車は騎兵に、いくつかの面で劣ります。まず地形踏破能力においては大きく劣ります。車輪では僅かな地形障害でも走行不能になってしまいますね。それから、コストに関しても、当時としてはハイテク兵器といって良い高価な古代戦車の車台部分が不要になりますし、故障時の修理の手間、随伴職人の人件費を考慮すると騎兵の方がはるかに安価です。人員の効率でも古代戦車の不利は理解できるでしょう。二匹の馬に二人の人員が最低限必要ですが、これらの一人(一匹)でも負傷すれば戦闘不能になるため、効率が悪い。駄目なところばかり目立ちます」





「そこまで古代戦車の不利が明らかなら、何で騎兵と共存できるの?」





「騎兵の概念自体が新しいものでしたし、軍人特有の保守性により騎兵への全面的移行が遅れたのかも知れません。それに騎兵が戦力的にも不十分だった可能性もあります。当初は二騎一組となり一人が手綱を操り一人が射るというような不便なことをやっていましたから…」





「そうして共存しつつ、徐々に有利な騎兵に置き換わっていったのかな」





「結局のところ、資料が少なすぎて分からない部分が多いのですよ。騎乗の起源に関しても確定的とは言えません。古代戦車と騎兵も一定期間共存しながら徐々に入れ替わったと思うのですが。詳しくは分かりません…」





「分からないことだらけだな。まぁ、時代が古い。しょうがないか」





「それだけ人類と馬は古くから関係が深いってことね」





「そうですね。昔から馬は人のよき友です。農耕馬として、荷馬として、そして軍馬として…」





「で、今回はこれで終了になると思うのだが、次こそ頼むぞ」





「何をですか?」





「本編だよ本編!せっかく火薬の時代になろうとしているのに、更新が止まっているじゃないか。なんとかしてくれ」





「ですから私は関係ありません。講師も決まっていませんし…」





「ま、なるようになるんじゃない?今回はこの辺で。それじゃまたね~」




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